Rut Bryk(ルート・ブリュック)は、フィンランドの女性デザイナー・芸術家。
中央美術工芸学校でグラフィックアートを専攻。卒業後はイラストやテキスタイルデザインなどグラフィックアーティストとして活動。
1942年にARABIAの芸術部門のアートディレクターであるKurt Ekholm(クルト・エクホルム)に誘われ訓練生として入社し50年間の長きにわたり芸術部門で活躍しました。
1945年に結婚した夫は、後にIittalaなどで活躍したフィンランドを代表するデザイナーのTapio Wirkkala(タピオ・ヴィルカラ)。
ミラノトリエンナーレでは、1951年に夫と共にグランプリ、1954年に名誉賞を受賞。
陶土を革新的な独自の表現手法として用いた作品を多く残し、フィンランドにおけるモダニズムを牽引したひとりです。
1950年代初めに石膏型を用いた新たな技法に着手。
これにより同じ図柄の作品であるが、様々な釉薬の組み合わせや型押しなど装飾を施すことにより一つ一つ個性のある作品となりました。
こちらは、この石膏型を用いた技法の作品で1957年にデザインされた『蝶』をモチーフとしたレリーフのひとつで、1958年のブリュッセル万博のフィンランド館にて発表されました。
このレリーフ以前にも蝶をモチーフとした作品はありましたが、
1957年は、画家であり蝶類学者でもあった父フェリックスが亡くなった年でもあり、父への様々な思いを改めて作品に落とし込んだレリーフのシリーズといえます。
パステル調のピンクの釉薬に2頭の蝶が配され、側面などに型押し装飾が施されています。背面はブルーの釉薬。
※側面角に欠けがあります。この他は、全体に艶があり、スレなどもなく非常に良い状態です。
ARABIA|アラビア|FINLAND
1873年、フィンランドの首都ヘルシンキの別荘地アラビア地区にRORSTRAND(ロールストランド)の子会社として創業。1916年にRORSTRANDより独立。1932年、KURT EKHOLM(クルト・エクホルム)をアートディレクターに迎え、機能主義を取り入れたSINIVALKOシリーズを1935年に発表。これにヒントを得てデザインされたのが、1953年に発表され大ヒットとなったKAJ FRANCK(カイ・フランク)のKILTAシリーズ。1932年、芸術部門であるARABIA ART DEPARTMENTが設立され、TOINI MUONA(トイニ・ムオナ)、BIRGER KAIPIAINEN(ビルイエル・カイピアイネン)、RUT BRYK(ルート・ブルック)、OIVA TOIKKA(オイヴァ・トイッカ)らが参加。1942年、FRIEDL HOLZER-KJELLBERG(フリードル・ホルツェル・ツェルベリ)のデザインした蛍手の技法を用いたRICE PORCELAIN(ライス・ポーセリン)シリーズを発表。1945年には、KAJ FRANCKがデザイナーとして入社、デザイン部門のリーダーとなり、KAARINA AHO(カーリナ・アホ)、ULLA PROCOPE(ウッラ・プロコペ)、ESTERI TOMULA(エステリ・トムラ)、RAIJA UOSIKKINEN(ライヤ・ウオシッキネン)らと共に数多くのヒット作を発表。1950年代から60年代にかけて黄金期をむかえるが、1970年代に入ると経営難に陥り以降、合 併や買収を繰り返し、現在は、IITTALAグループのブランドとして主にフィンランド国内向けに生産を続けています。
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