Wilhelm Kage(ウィルヘルム・コーゲ)は、美術学校で絵画を学び、卒業後はポスターアーティストとして活躍。
1917年からGustavsberg(グスタフスベリ)のアートディレクターとしてスウェーデンにおけるモダンデザインの礎を築き、
Berndt Friberg(ベルント・フリーベリ)やStig Lindberg(スティグ・リンドベリ)といった優れた陶芸家・デザイナーを見出した芸術家。
Argentaシリーズは、1930年のストックホルム万博で発表され、1980年代まで製造。
国内外で大きな成功を収め、Gustavsbergの名を世界に知らしめました。
Argentaとは、イタリア語で『銀』の意。
初期の頃は、Sven Jonson(スヴェン・ジョンソン)やBerndt Friberg(ベルント・フリーベリ)らが轆轤で製作した後、
Wilhelm Kage自身により銀彩が施されていましたが、徐々にペインターがKageの原画を元に描いていくことになり、
Kageに認められたペインターには作品に印(アルファベット)をつけることが許されました。
戦後は、工場の合理化を余儀なくされ轆轤から鋳造へ、
素材もフリントウェアからストーンウェアへと変わり大量生産へとシフトされていきました。
こちらは、1941年に製造された作品。
轆轤で製造され、銀彩はGunvor Stoor(グンヴォー・ストーア)によるもの。
人魚、ドラゴン、草花などアールデコスタイルの装飾が多いArgentaシリーズにあって、かなりシンプルですが、
同心円のライン上には、ギザギザの掻き込みがある手の込んだ装飾。
※目立つダメージなく良い状態です。
GUSTAVSBERG|グスタフスベリ|SWEDEN
はじまりは1640年のレンガ工場。その後、1825年に陶磁器工場として創業。1850年代にいち早く着手し、1860年に生産を始めたボーンチャイナの製法は、GUSTAVSBERGの特産品となり発展と成功へと導きました。20世紀に入り、スウェーデン工業デザイン協会の推進する大衆へ向けた安価 で質の良いものづくりへと転換していくなか、1917年に画家であったWILHELM KAGEをアートディレクターとして迎え、モダンデザインの礎を築く。1934年にBERNDT FRIBERG(ベルント・フリーベリ)、1937年にSTIG LINDBERG(スティグ・リンドベリ)、1950年にKARIN BJORQUIST(カリン・ビョールクイスト)、 1954年にLISA LARSSON(リサ・ラーション)らが入社。デザイナーにはそれぞれスタジオとアシスタントが与えられ、量産プロダクトをデザインするとともに、作家活動としてのアートピー スの製作も自由に行われていました。北欧モダンデザイン黄金期と重なる1950年代から60年代に隆盛を極めたが、70年代より勢いを失い買収を繰り返し現在 は、衛生陶器メーカーとして操業を続けています。食器部門は買収され、別会社であるHPF GUSTAVSBERGとして復刻版等を中心に製造。