Dora Jung(ドラ・ユング)は、生涯において日々の弛まぬ努力により素材と技法を熟知し、自身の表現の実現において妥協を許さない職人気質な芸術家で、
伝統的なダマスク織の技法を発展させ、芸術の域に達するモダンなダマスク織を生み出しました。
また、デザイナーとしてもTampellaとのコラボレーションによりフィンランドのリネン製品を刷新したパイオニアでもあります。
中央美術工芸学校のテキスタイル・アート学科の一期生として学び、1932年の卒業後すぐに自宅で自身の織物工房『Dora Jung Textil』を設立。
教会からの依頼を中心にダマスク織のテキスタイルを制作する傍ら、活動を始めた当初から海外の大規模な展覧会などに作品を出展するなど精力的に活動していきました。
1937年は、パリ万博で金賞を受賞し、仕事でも大規模な依頼により後に芸術顧問となるTampellaとのコラボレーションが始まり、
またAalto夫妻が手掛けたSavoyレストランのテーブルクロスやナプキンなどを担当したことでArtekとの協力関係が始まるなど彼女にとって重要な年となりました。
1938年には、学生時代からの友人で同志でもあったガラスデザイナーのGunnel Nyman(グンネル・ニィーマン)との合同展を開催、二人は1947年にもArtekで展示を共にしました。
1956年にArtekで開催された『リネン展』で、Dora Jungにとって初めてのプロダクトとなるTampellaで製造されたリネン製品を発表。
これらは、1950年代初めから次々と発表されていた『美しい日用品』を具現化するモダンデザインのテーブルウェアと調和する待望のデザインされたリネン製品となりました。
数々の受賞歴がある中、特筆すべきはミラノトリエンナーレでの活躍で、
1951年と1954年は自身の工房での作品でグランプリ、1957年はTampella製のプロダクトでグランプリと3回連続でグランプリを受賞する偉業を成し遂げました。
こちらは、1958年にデザインされた品番441で、4種類の花がレイアウトされています。
ハーフリネンで製造されたダマスク織のテーブルクロスです。
1958年から1962年に製造。
※2箇所シミがあります。