Timo Sarpaneva(ティモ・サルパネヴァ)は、ヘルシンキの中央美術工芸学校でグラフィックデザインを専攻。
卒業後の1949年にRiihimaen Lasiのガラスデザインコンペで2等を獲得し、ガラスデザイナーとして招待されますが、
無償のデザイン提供という屈辱の提示により交渉決裂に終わりました。
ガラスデザイナーへの道を模索するなか、1950年にIittalaの親会社であるAhlstromの展覧会やショーウィンドウ、グラフィックの仕事を得ました。
同年にデンマークのHolmegaardからガラスデザインの依頼を受けてAhlstromを辞める覚悟を決めますが、
Ahlstromからグループ企業のIittalaでのガラスデザイナーへの道を提案され翻意し、
1951年からIittalaでガラスデザイナーとしてのキャリアをスタートさせました。
最初に取り組んだ洗練された芸術性の高いアートピースで、1954年のミラノトリエンナーレでグランプリを受賞、
1956年に発表したマウスブローによる実用ガラスである『i-line』でも1957年にグランプリを受賞するなど、
1946年からIittalaでデザイナーとして活躍していた盟友Tapio Wirkkala(タピオ・ウィルカラ)と共にIittalaをフィンランドを代表するブランドに押し上げました。
Iittalaでは、ポスターやパンフレット、パッケージなどグラフィックデザインでも活躍。
とりわけ『i-line』のためにデザインしたロゴマークは、後にブランドロゴマークとなり長きに渡ってiittalaの象徴として使用されました。
アートガラス、実用ガラス、陶磁器、グラフィック、テキスタイルなど幅広い分野で活躍し、フィンランドのモダンデザインを代表する傑出したデザイナーのひとりです。
Timo Sarpanevaは、新たな技術を追い求めてガラスの表現の探求と実験を繰り返す中、
1963年に別の実験に際しての副産物であった表面が焼け焦げた木型をヒントに作品へと発展させました。
同年、表面が焼け焦げた木型を組み合わせてユニークピース制作した後、代表作のひとつである『FINLANDIA』シリーズを1964年に発表。
焼け焦げた木型の表面がそのままガラスに写しとられた凹凸のある不規則な表面のテクスチャは、この後1970年代まで続くトレンドとなりました。
この後に同様の表現をプロダクトに落とし込み、1965年にタンブラーTOMI、1966年にキャンドルホルダーFESTIVOを発表。
こちらは、1968年に発表されたSENATORシリーズのひとつで、型吹きのカップ部がTOMI、プレスガラスのステム部がFESTIVOと2つを組み合わせたデザインです。
製品モデルは、カップ部においてグラファイト型が用いられますが、こちらは木型を用いた大変希少なもの。
プロトタイプもしくは展示用として製造されたものと推測されます。
※目立つダメージなく良い状態です。