Ambienteのテキスタイルは、1966年に発表され1970年代まで製造されました。
Ambienteは、偶然の産物から発展した画期的な印刷技術で、1965年にRosenlew社でデザインした壁紙の印刷立ち会い時に印刷機が壊れ、
インクがランダムに飛び散り印刷された不規則なパターンを見たTimo Sarpanevaは、このまま続けようとその美しさに魅了されました。
この時に起こった現象を整理、技術を確立後にAmbienteの壁紙は製品化、同年この技術は、繊維メーカーのTampella社でテキスタイルに応用されました。
Ambienteは、通常の版を使ったテキスタイルプリントとは製造方法が異なり、
生地を送るローラーの一つにノズル(ローラー幅に最大60個)から染料や水などを垂らして製造されます。
同じものは二つとないランダムなパターンですが、ノズルにセットされた染料の色や量、並び方などにより一定の一貫性を持たせパターン化し製品化されました。
この技術は製造における利点も多く、版の数だけ同じ工程を繰り返す通常のテキスタイルプリントと比べ時間もコストもかなり削減でき、
またプリントというよりは染料を生地に染み込ませる染色に近い技法なので裏面がなく、洗濯や光による退色も抑えられました。
この革新的なAmbienteの技術は、日本を含む世界中で特許を取得し、製造ライセンスが販売されました。
1965年にヨーロッパ包装連盟主催コンテストで最高賞、1969年には、AID(アメリカ装飾家協会)からデザイン賞を受賞。
Timo Sarpaneva自身が『マシン・ペインティング』と呼ぶAmbienteは、最終的に20種類のパターンと約2000色の組み合わせのバリエーションで展開され、量産される製品でありながらそれぞれはユニークなアートでもあります。
1969年にニューヨークで開催されたAmbienteの展示会のオープニングでAndy Warhol(アンディ・ウォーホル)に出会った際には、
「いいかいTimo、君はどうかしているよ。なんでこれをファブリックって言うんだ?これはアートだ。切り取って額に入れてアートとして売れば、君は億万長者になれるよ」と助言されました。
※長辺が長い為、画像を約半分の2枚(画像3・4枚目)に分けています。合わせて一枚のテキスタイルとなります。
シミやほつれ、折ジワがあります。