Timo Sarpanevaが1964年に『FINLANDIA』シリーズを発表後、市場のトレンドとなった凹凸のある不規則な表面のテクスチャを用いたデザインは、
1970年代半ば以降徐々に勢いを無くしていきました。
1974年にデザインされた『ILJA』シリーズは、こうしたトレンドの転換期に次なるスタイルを模索する中でデザインされたものと推測されます。
1975年から1977年とわずか3年間のみの製造。
このタンブラーは、サイズの異なるルーローの三角形を上下で反転させ、重心を合わせて構成されたユニークなフォルムが特徴です。
緩やかな曲線を描くフォルムは手に馴染みやすく、カップ部と脚部の段差は支えにもなり持ちやすさを高めています。
重く厚みのある脚部には高い安定感があり、見た目の独自性だけでなく、使い勝手や機能性にも配慮されたデザインです。
※目立つダメージなく良い状態です。
TIMO SARPANEVA|ティモ・サルパネヴァ|1926-2006|FINLAND
Timo Sarpaneva(ティモ・サルパネヴァ)は、ヘルシンキの中央美術工芸学校でグラフィックデザインを専攻。
卒業後の1949年にRiihimaen Lasiのガラスデザインコンペで2等を獲得し、ガラスデザイナーとして招待されますが、
無償のデザイン提供という屈辱の提示により交渉決裂に終わりました。
ガラスデザイナーへの道を模索するなか、1950年にIittalaの親会社であるAhlstromの展覧会やショーウィンドウ、グラフィックの仕事を得ました。
同年にデンマークのHolmegaardからガラスデザインの依頼を受けてAhlstromを辞める覚悟を決めますが、
Ahlstromからグループ企業のIittalaでのガラスデザイナーへの道を提案され翻意し、1951年からIittalaでガラスデザイナーとしてのキャリアをスタートさせました。
最初に取り組んだ洗練された芸術性の高いアートピースで、1954年のミラノトリエンナーレでグランプリを受賞、
1956年に発表したマウスブローによる実用ガラスである『i-line』でも1957年にグランプリを受賞するなど、
1946年からIittalaでデザイナーとして活躍していた盟友Tapio Wirkkala(タピオ・ヴィルカラ)と共にIittalaをフィンランドを代表するブランドに押し上げました。
Iittalaでは、ポスターやパンフレット、パッケージなどグラフィックデザインでも活躍。
とりわけ『i-line』のためにデザインしたロゴマークは、後にブランドロゴマークとなり長きに渡ってiittalaの象徴として使用されました。
アートガラス、実用ガラス、陶磁器、グラフィック、テキスタイルなど、幅広い分野で活躍したフィンランド・モダンデザインを代表する卓越したデザイナーの一人です。
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