Maire Gullichsen(マイレ・グリクセン)は、Artekの共同設立者のひとりで、Aalto夫妻による国際的に有名なモダニズム建築マイレア邸の施主、
フィンランドのモダンデザインにおいて最も重要な人物のひとり。
Artekでは、資産家(巨大企業Ahlstrom社の創業者の孫娘、夫は同社のCEO)として経済的に支えるだけでなく、
ヨーロッパ中を旅して築いた豊富な人脈を生かし海外の著名芸術家やデザインの展示をGalerie Artekで開催。
Artek以外でもフリーアートスクールや現代美術協会を設立したり、
美術館でより大きな展覧会の開催や雑誌や新聞での寄稿を通じてフィンランドにおけるモダニズム文化の啓蒙活動に尽力しました。
また、フィンランドデザインを海外に発信すべく拠点となるギャラリーや会社をストックホルムやロンドン、パリに設立するなど海外へ向けた普及活動においても精力的に活動しました。
1961年には、不況と工業化による失業に喘いでいた故郷の人々の雇用と手工芸の振興、質の高い製品を製造し日常に美の概念をフィンランドに普及することを目的として、
Ahlstrom社の本拠地でありマイレア邸のあるNoormarkunにNorrmark Handicraftを設立。
当初は、Bertel Gardberg(バーテル・ガードバーグ)をアートディレクターに迎え、彼のデザインした木工芸品を地元の大工が自宅で製造しArtekにて販売。
その後、Nanny Still(ナニー・スティル)やMaija Heikinheimo(マイヤ・ヘイキンヘイモ)、Ben af Schulten(ベン・アフ・シュルテン)、
Kristian Gullichsen(クリスチアン・グリクセン)などがデザインする家具や鍛鉄製品、テキスタイルを製造するなど徐々に事業を拡大していきましたが、業績悪化により1976年に活動停止しました。
木工製品部門は、1974年にArtekに引き継がれArtek Oy Ab Norrcraftのブランドで一部のモデルのみ継続して製造。
現在Artekで販売されている『コートハンガー 160』はNorrmark Handicraftの製品としてデザインされたもの。
こちらは、Bertel GardbergがNorrmark Handcraftのために最初にデザインしたもので、1962年から1967年に製造。
厚みのある縁が特徴的な旋盤加工されたチーク材製のフルーツボウル。
※目立つダメージなく良い状態です。